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月経痛について
受精卵を迎えて着床妊娠するために、およそ28日間隔で子宮内膜が増殖し、着床しなければ剥がれ落ちて血液と共に体外へ排出されます。体外へ排出される現象を月経(生理)と呼びますが、その際に下腹部の痛みや腰のだるさが生じることがあり、これらは総じて月経痛(生理痛)といわれ数多くの女性が悩まされています。
原因
月経痛の背景は様々ですが、代表的な要因は次のようなものになります。
プロスタグランジンによるもの
月経時に子宮内膜が血液と共に出されるためには、子宮を収縮させて外に押し出す力が必要となります。その際に活躍するのが、プロスタグランジンと呼ばれる生理活性物質です。プロスタグランジンが大量に産生されることで、子宮収縮が強くなり下腹部の痛みが引き起こされます。
また、プロスタグランジンには血管収縮の作用もありますので、子宮を取り巻く骨盤周りの血流を悪くし、月経痛特有の腰のだるさや冷えも生じやすくなります。
ストレスや生活習慣の乱れによるもの
適度なストレスであれば問題ありませんが、仕事や人間関係などで思い詰める、睡眠不足や生活環境の刺激など、心身ともに過度なストレスは交感神経を優位に保ち続け、自律神経のバランスを崩していまいます。
その結果、血行が悪くなりうっ血し、痛みを感じるようになります。
子宮口の大きさが不十分であることによるもの
若い世代や出産の経験がない場合は、子宮の出口が狭いことがあります。
普段は閉まっている子宮口から血液を押し出すのですから、出口が狭ければそれだけ負荷がかかることになり、押し出す際に痛みを生じるようになります。
主な症状
月経痛によって引き起こされるのは、下腹部の痛みだけではありません。
次に示すような、様々な症状も引き起こされることがあります。
下腹部や腰の痛み、腰回りのだるさ、下痢、吐き気、食欲不振、嘔吐、頭痛
また、月経前にイライラや頭痛などの症状が出ることがあり、これを月経前症候群(PMS)と呼んでいます。
月経の始まりとともに症状が緩和されるのが特徴です。
月経痛を和らげるためにできること
月経痛は生活習慣の見直しでも、改善されることがあります。
血行をよくするためシャワーで済ませずにお風呂に入る、体を締め付けるような服装をしないなど血液の流れを滞らせないように気をつけましょう。温かい飲み物やしょうがなど、体を冷やさない食材を積極的に摂ることも有効です。
また、軽い運動やストレッチなども血液の流れを良くしてくれます。気がついたときにストレッチをするなど、生活の中に取り入れるようにしましょう。毎日の生活の中で、ストレスをリセットするような時間を取り入れてもいいかもしれません。心身ともにリラックスするため、アロマや音楽などもいいですね。
鎮痛剤の服用について
どうしても痛みが引かない場合は、鎮痛剤を服用することもオススメです。
非ステロイド系鎮痛剤(NSAIDs)は、プロスタグランジンの産生を抑制することで痛みを軽減してくれます。
しかし、常用が続くと胃粘膜の保護作用がなくなり、腹痛や下痢といった胃腸障害が生じることがあります。そのため、漫然とした服用は避けるようにしましょう。
ホルモン剤の服用について
最近は様々なホルモン剤を使用することで月経痛を効果的に軽減することが可能となっています。
その他について
漢方薬やω3脂肪酸、大豆イソフラボン関連のサプリメントである「エクオール」が効果的な場合もあります。特に月経前症候群(PMS)に対する「エクオール」の効果は最近注目されています。
月経の度に症状がひどくなる、月経期間や量の変化などが見られた場合は、背後に子宮内膜症や子宮筋腫などの疾患が潜んでいる可能性があります。何か変だな、と感じた時にはこれくらいは大丈夫だろうと思わずに、早めに医師の診察を受けるようにしましょう。