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月経異常について
受精卵を迎えるベッドの役割を担っている子宮内膜は、約1ヶ月のサイクルで体外へと排出されており、この現象は月経(生理)と呼ばれています。10代の前半から始まる月経は、女性にとって人生の大半を一緒に過ごす定期的なイベントのひとつ。長きに渡って起こるため常に順調な道を走っているとは限らず、様々な背景のもとで月経異常が起こることも少なくありません。
月経痛について
日本産科婦人科学会において月経は、「通常、約1カ月の間隔で起こり、限られた日数で自然に止まる子宮内膜からの周期的出血」と定義されています。卵胞期、排卵期、黄体期、月経期の4つの時期に分けることができ、各時期に分泌されるホルモンや起こる現象は異なっています。
卵胞期
性周期の前半を占め、脳の視床下部からの刺激によって下垂体からFSH(卵巣刺激ホルモン)が分泌され、卵巣内の卵胞が発育し始めます。そして、発育した卵胞から産生されたエストロゲン(卵胞ホルモン)の働きによって、子宮内膜が肥厚していきます。
排卵期
卵胞が成熟した後、脳の下垂体から分泌された大量のLH(黄体化ホルモン)によって卵子が放出され、排卵が起こります。
黄体期
性周期の後半を占め、排卵後の卵胞が変化した黄体からはプロゲステロン(黄体ホルモン)が分泌されます。プロゲステロンは、受精卵が着床しやすいよう子宮内膜をが整える働きをします。
月経期
受精卵が着床しなければ肥厚した子宮内膜は不要となり、剥離して体外へ排出されます。
様々な月経異常について
月経には個人差があり、なかなか他人と比べることがないかもしれませんが、下記に当てはまるような症状があれば月経異常の可能性があります。
月経周期の異常
月経がはじまってから、次の月経開始前日まで25〜38日が正常範囲内であり、これ以外は生理不順とされています。
- 頻発月経:月経周期が短く24日以内の場合
- 稀発月経:月経周期が長く39日以上の場合
- 無月経:3ヶ月以上、月経がない場合
月経期間の異常
期間は、3〜7日間が正常範囲内だとされています。
- 過短月経:月経期間が2日以内の場合
- 過長月経:月経期間が8日以上異常続く場合
月経量の異常
月経量は20〜140gであれば正常範囲内とされていますが、量を測ることは難しいものです。一般的には、次のような症状があれば月経量異常の可能性があります。
- 過多月経:月経量が異常に多く、レバーの塊のようなものが出たり、生理用品を取り替えても1時間程度しかもたないような場合
- 過少月経:月経量が極端に少ない場合
月経痛の異常
多かれ少なかれ月経時に痛みを感じる方は多いのですが、下腹部痛や腹痛が強く、時に頭痛や嘔吐、貧血を伴うことがある、日常生活に支障をきたすなどの場合は月経困難症の疑いがあります。
- 器質性(続発性)月経困難症:子宮筋腫や子宮内膜症、子宮腺筋症といった何らかの疾患がある場合
- 機能性(原発性)月経困難症:器質的疾患がなく、月経のはじまりによくみられる場合
無月経について
中には、月経自体が起こらないケースもあり、これを無月経とよ読んでいます。
- 原発性無月経:18歳以上であっても初経(初潮)がない場合
- 続発性無月経:これまであった月経が、3ヶ月以上起こらない場合
上記のような症状のほか、これまでの月経よりも期間や量に変化があるなどした場合も注意が必要です。急激なダイエットや不規則な生活が月経に影響を与えることもあります。
規則正しい月経のためには、ライフスタイルを見直すことはもちろんのこと、自身の普段の月経をよく観察して変化にも気付けるようにしておくことも大切です。