ウイメンズヘルスケア Women's Healthcare
頻尿・尿漏れについて
最近、トイレに行く回数が増えた。くしゃみをした時に尿が漏れる。こういった経験をしたことはありませんか?こういった尿に関する悩みを抱えている方は、意外に多いものです。しかし、なかなか人に話しにくいこともあり、我慢して受診をためらってしまう場合も少なくありません。
頻尿について
膀胱に溜めることのできる尿量には男女差がありますが、通常は200ml〜300ml程度、尿の回数は1日に多くても8回が目安とされ、これ以上、排尿の回数が増えるようであれば頻尿だとされています。
原因
加齢や精神的ストレスによって頻尿になることもありますが、中には膀胱やその周囲の器官に何らかの疾患があることも。また、妊娠中は膀胱の容量自体が減ってしまうので、頻尿になる傾向があります。
治療
抗コリン薬やβ受容体刺激薬など、膀胱の筋肉の収縮を抑えて容量を増やしたり、尿道を締めたりすることで改善が期待できます。
腹圧性尿失禁について
咳やくしゃみなどによってお腹に力を入れると起こる尿漏れを、腹圧性尿失禁といいます。
腹圧がかかるようなスポーツや、重いものを持ち上げた拍子などにも漏れやすい傾向があります。
切迫性尿失禁との併発もよくみられます。
原因
特に、女性に多く見られる症状です。その背景として、男性よりも尿道が短いことや、出産などによって尿道括約筋や骨盤底筋が緩みやすいことがあげられます。出産のほか、便秘や加齢、女性ホルモンの分泌量低下なども腹圧性尿失禁を引き起こす要因となります。
治療
弱くなってしまった骨盤底筋を鍛えることが、基本的な治療になります。緩んでしまった筋肉を骨盤底筋体操で鍛え、尿道を締める力を取り戻すことで尿漏れを防ぐことができます。症状によっては、尿道を締める作用のあるβ受容体刺激薬などを用います。
過活動膀胱
40歳以上の8人に1人が悩まされていると言われている過活動膀胱では、次のような症状が現れます。
尿意切迫感…急にトイレに行きたくなってしまい、我慢できずに漏れそうになる
切迫性尿失禁…突然、尿意を感じてトイレに行きたくなることに加え、我慢できずに尿漏れを起こしてしまう
夜間頻尿…夜間、睡眠時に数回トイレに行く
原因
排尿は、脳からの指令によってコントロールされていますが、脳梗塞など脳障害の後遺症によってそのコントロールが効かなくなり、症状が引き起こされることがあります。また、そういった神経性の障害がなくとも、出産などによって、膀胱や子宮を支える働きをする骨盤底筋が緩んでしまい、尿漏れを起こすこともあります。このほか、原因がはっきりとしないことも少なくありません。
治療
骨盤底筋体操で弱くなった骨盤底筋を鍛えることに加え、抗コリン薬などが処方されることがあります。
また、場合によっては、抗うつ剤が効果的に働くこともあります。
症状をそのまま放っておくと、さらに悪化してしまうこともありますし、単なる尿漏れではないことも考えられます。尿漏れや頻尿は決して珍しい病気ではありません。恥ずかしがらずに、気になる症状があればまず受診してみましょう。